先回に引き続き、今回も感動レベルや「感動のツボ」についてお話ししたいと思います。
本人が一生懸命準備して、熱心に話しているにもかかわらず、どうもツボがずれていて、聞き手がしらけているという場面にしばしば出くわします。そのひとつの理由は、相手との間の距離が十分につかめていないことにあります。キャッチボールに例えると、相手があまりにも遠くにいるため、ボールを投げてもそれがぜんぜん届いていないか、またその反対で、ボールが相手の後ろに飛んで行ってしまっている場面です。
キャッチボールをうまく行うには、二つの要素が関係してきます。一つは、距離を正確に把握するということです。次に距離に見合った力でボールを投げることです。
相手との距離を測るには、相手と自分との間にどれだけの共通点があり、逆にどれほどの差異があるかをつかむ必要があります。通常、理論や理性が関係してくる部分、また実際に手で触れたり見たりできる部分では、どんな国民であろうと、認識にそれほど大きな違いは生じません。問題になってくるのは、心や好き嫌いが関係してくる部分です。この部分をしっかり把握しないと話すことが空回りしてしまいます。ボールがちゃんと相手に届かないわけです。
30年近く前の話になりますが、日本で「南極物語」という映画が流行ったことがありました。(その内容や話題性などについては、ウィキペディアなどで検索してみてください)当時、中国語を勉強して間もなかった私は、日本人と中国人の友人たちと一緒に映画を鑑賞しました。日本の映画ですから、当然、中国語の字幕付きです。我々日本人は感動して涙をぼろぼろ流したのですが、それを見ていた中国人の友人は、さっぱりわからないという顔で、「为什么哭?(何で泣いているの?)」「你觉得狗很可怜吗?(犬が可愛そうなのか?)」といぶかり、興ざめしたのを今でも鮮明に覚えています。『感動』とは、万国共通のものだったと信じていた神話がその時、がらがらと音を立てて崩れ去りました。その中国人の友人は、多くの中国人の中でもかなり繊細で優しい人だった(と私が評価していた人だった)ので、「わかってもらえるだろう」と思っていたその人の口からそういう言葉が出てきたのはショックでした。
誤解していただきたくないのですが、すべての中国人が「南極物語」に感動しないという意味でこれを書いているのではありません。ここで言いたいのは、30年前という時点で、その友人たちは、「南極物語」の日本人が感動する「ツボ」に共鳴しなかったということです。その友人に関する限り、多数の日本人を感動させた「南極物語」の発するメッセージというボールは届きませんでした。彼らの立っていた場所は、あまりに遠くだったのです。
今振り返ってみると、中国語学習の初期にそんな経験ができたのは幸運だったと思います。その時には、なぜ彼らはこれに感動できないのだろう?一体、自分が感動したポイント(ツボ)は何だったのだろう?なぜ、そこがわからないのだろう?という問題を真剣に考えるようになりました。その出来事を通して、自分や日本人の多くが感銘したり、高く評価したりしているストーリーや「感動のツボ」も、必ずしも中国人に受けるとは限らないということを肝に銘じるようになりました。その時以来、様々な『感動的な話』に対する中国人の反応を観察するようになりました。そして、「これから話そうとすることは、本当に理解されるだろうか?」「文化や背景によるギャップのため、しらけたものになる可能性はないだろうか?」と絶えず自問するようになりました。
よく「語学力がまだまだ足りないから、自分はとても人を感動させることなどできない」という人がいます。話のポイントがずれないように、今いちど断っておきますが、私の言う『感動』とは必ずしも、その場で涙を流させるようなドラマチックなものとは限らず、長く相手の行動や考え方に影響を及ぼすような話や内容のことです。さて、「自分には人を感動させることなどできない」と言っている人は、永続的な感動とは、語学力やテクニックによるものだと勘違いしているようです。自分は野球の素人だから、ボールはとても相手のところにまで届かないだろうと思い込んでいるのです。
効果的なコミュニケーション、つまり感動させる話し方というのは・・・
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高 on わかってもらうには背景を細かく説明する必要もある-日本人の中国語が通じないわけ(4): 毎回、楽しみにしてい
まお on もっと噛み砕いた言い方を模索しよう-日本人の中国語が通じないわけ(3): わかりやすい例文と、