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第八十六回-「“死诸葛走生仲达”」

孔明の死を受けて、姜維は早速撤退の準備に取り掛かります。蜀軍の陣地がにわかに騒がしくなったのを見て取った司馬懿は、部下の夏侯覇(かこうは)に一軍を率いて蜀の陣地を偵察してくるように命じます。
夏侯覇は馬も乗りつぶすばかり鞭を打ち続けてかえってきます。待ちかねていた司馬懿は、夏侯覇の姿を見るや否や“蜀の陣地はどんな様子だったか?”と尋ねます。
夏侯覇は答えて言います。
“どうも変です。ひそかに撤退の準備をしているようです!”
“やっぱり!そうか!”
司馬懿はこの時とばかり、全軍に出撃命令を出します。
“孔明のいなくなった蜀軍はこれを攻めつぶすのも自由自在だ!”
これまでは孔明の挑発に乗らずひたすら我慢していた魏の軍勢は、堰を切った流れのように、一斉に蜀の陣地に向かって突撃します。
なかでも大将の司馬懿は、自ら陣地の先頭に立ち、全軍を引き連れて五丈原の蜀陣に向かいます。
五丈原の蜀陣に近づいてみると、やはり蜀の兵は一人もいません。
今や孔明の死を確信した仲達は、撤退を開始した蜀軍を後ろから攻撃しようと、猛攻撃の開始を準備します。
ところが、一方の山間から闘志溌剌な鬨の声が鳴り響きます。
“蜀軍ここにあり!”という声が聞こえたかと思うと、蜀の将軍たちが、孔明の乗った四輪車を押してこちらに向かってくるではありませんか!
死んだとばかり思っていた孔明が、四輪車に乗って、しかもその車を取り囲む将軍たちの顔は闘志に満ち溢れていて、とても孔明が死んで悲しんでいるようには見えません。もちろんこの孔明は、本物ではなく、よく似せて作った木像なのですが、遠目からではそこまでの判断がつきません。
司馬懿はビックリ仰天して絶叫します。
“またも騙された!孔明はまだ死んでいない。全軍退却!”
司馬懿の狼狽ぶりを見た蜀の姜維は、今がチャンスとばかり、全軍に突撃命令を出します。
“司馬懿、なぜ逃げるのか!せっかく出てきたのに、戦わないまま退却するとはどういうことだ!”
大将の司馬懿は、驚きのあまり、我先にと馬を返し退却を始めます。大将の司馬懿が我先に逃げ出したばかりか、諸大将たちも“孔明は生きている!”“孔明なお在り!”と周章狼狽して我先に馬を返したので、馬と馬はぶつかり合い、兵は兵を踏み潰し、魏軍は大混乱に陥ります。
姜維率いる蜀軍はこれに追撃を加えて大打撃を与えます。
司馬懿は後ろを振り返らず、ひたすら逃げまくりました。
蜀軍の追撃が止んだようなので、司馬懿は落ち着きを取り戻し、もう一度蜀の陣地に引き返します。そこには一人の蜀兵もいませんでした。
司馬懿はこのときになって初めて、孔明が本物ではなく木像であったことを聞かされます。改めて孔明の智謀に感服します。
そして孔明が遺していった蜀の陣地跡を見ると、整然と整備されていて孔明の智謀の跡が伺われます。
司馬懿は一人、孔明を偲びながらこうつぶやいたといわれています。
“まことに彼は天下の奇才。おそらくこの地上に再び彼のような人物を見ることはもうあるまい。”
こうして孔明と司馬懿のライバル対決は終わりを迎えたのでした。

“死诸葛走生仲达”
意味:優れた人物は、その死後もなお生前の威力が残っていて、生きている者を怖れさせるものである。
由来:五丈原の戦いで諸葛亮が陣没した。蜀軍が退却したので、魏の司馬懿仲達は追撃を開始した。しかし、蜀軍が退却を中止し迎え撃つ構えを見せたので、司馬懿は諸葛亮の策略かと思い退却したことによる。
次回は「“诸葛亮会”-孔明会議」と題して、孔明にまつわる故事成語を一挙にご紹介します。

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2009年02月13日 13:27に投稿されたエントリーのページです。

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