第五十八回-「おじいちゃんの大活躍」
成都を支配下に治めた劉備は、曹操の領地になっていた漢中(陝西省漢中市)を攻略しに出陣します。
漢中は曹操の領地を攻撃するためには必ず通らなけらばならない重要地点で、ここを占領してしまえば、魏の副都心ともいえる長安(現在の西安)をいつでも狙うことができます。そういうわけで、この漢中の攻防戦は、劉備にとっても、曹操にとっても重要な戦いでした。
ちなみに、下の写真は現在の漢中駅の様子です。

劉備軍は総力を挙げて曹操軍を攻撃します。なかでも大活躍したのが、劉備軍で一番の年寄りだった黄忠(こうちゅう)でした。
黄忠の活躍を表現した成語もあります。
| 成語:老的赛过黄忠 |
| 意味:年を取ってもまだまだ元気であること。 |
| 由来:老いてもまだまだ壮健な黄忠を称賛した言葉。 |
元気なおじいちゃん黄忠に対して、魏の大将は夏侯淵(かこうえん)という人物で、曹操の信頼も篤く、勇猛果敢なことで知られていました。
黄忠軍と夏侯淵軍のこの戦いは、定軍山というところで行われたので定軍山の戦い、といわれています。下の写真は現在の定軍山です。

ここで黄忠は敵軍を疲れさせるためにある作戦を考えます。山の頂上に陣取っていた黄忠軍は、山の麓に向かって、いくつも間隔をあけて陣地を作ります。山の下に陣取った夏侯淵軍は、これを奪いに来ますが、黄忠軍はわざと負けて、一日ひとつずつ陣地を奪われていきます。
しかしこれは、夏侯淵軍に何度も山を登らせて疲れさせようとした、黄忠軍の作戦でした。夏侯淵軍は奪った陣地に、次々と食料や物資を運び込み頂上の黄忠軍を目指しますが、黄忠は夏侯淵軍の疲れがたまったのを見計らって総攻撃を仕掛けます。疲れているところへ山の上から総攻撃を食らった夏侯淵軍は、ボロ負けし、今まで奪った陣地と食料や物資など全て奪われてしまいます。そして乱戦のさなか、夏侯淵は黄忠に討ち取られてしまいます。こうして黄忠の大活躍によって、漢中は劉備の支配下となったのでした。
このときに黄忠が用いた戦法は、成語にもなっています。
| 成語:反客为主(客を反して主と為す) |
| 意味:ものの順序、立場、軽重が逆になること。主客転倒。 |
| 由来:定軍山の戦いで、蜀の参謀・法正が黄忠に進言して用いた策略 |
さて、次回は「王様になった劉備」と題してお送りします。



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